簡潔に

高齢者や肥満の方、腹圧がかかりやすい農作業などの職業の方などではよく認められる疾患。症状は胸やけなどの逆流性食道炎の症状が主体となる。内服による逆流性食道炎の治療を行うことにより、多くの例で症状のコントロールが可能。

詳しく
食道裂孔による胃酸の逆流
食道は胸の中を通りお腹の中にある胃へつながっていますが、胸とお腹の境界としてあるものが横隔膜です。この横隔膜に食道が胸の中からお腹の中に入っていく孔があり食道裂孔といいます。
食道裂孔は横隔膜を形成するいくつかの筋肉や靱帯で構成されていますが、これらの筋肉や靭帯が年齢的変化で緩くなると孔が大きくなってしまうことがあります。さらに食道と胃のつながる部分を支えている靭帯も緩んでくると、
腹圧で食道と胃のつながる部分が裂孔を通して胸の方へ上がってきます。この状態を食道裂孔ヘルニアと言います。
高齢者や肥満の方、腹圧がかかりやすい農作業などの職業の方などではよく認められる疾患です。食道裂孔ヘルニアでは、下部食道括約筋(LES)の機能は低下しますので胃食道逆流症(GERD)逆流性食道炎を発症しやすくなります。
症状はヘルニアそのものの症状よりも胸やけなどの逆流性食道炎の症状が主体となります。
治療はプロトンポンプ阻害薬の内服による逆流性食道炎の治療を行うことにより、多くの例で症状のコントロールが可能です。症状がない状態でも逆流は起こっていますので高齢者の場合は誤性肺炎の合併に気をつける必要があります
内服によるコントロールができない場合などは手術も選択肢となってきますが、術後早期は症状の改善が見られるものの、数年の経過の中で再び症状が強くなる例も多く見られます。このため手術を受けるかどうかの判断は十分な説明により行うべきだと思います。

食道裂孔ヘルニア